日報

あるいは遺書

りゅう

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

粒子のうねり

一緒に遠くまで来れたら カナリアが騒いでいる 悪いことをしすぎて 皮膚が太陽を集めすぎて 死んだ木を加工する 指でプリズムをつくる とても偶然とは思えないような話を 電話番号なんて覚えていない 街はすぐに変わっていく 空白を言葉で埋める 覚悟もなく…

雨が上がった 柔らかかった もっと早起きできたらいいけど 自転車を漕ぎ出す あの時のあなたは見るからに頼りなかった 欠片が冷たいから シャワーを浴びよう 大袈裟なふりをして 脳の部位を浸して 100年前、200年前 遠ざかる 弛緩する感覚のために痛みを与え…

坂道

もう思い出すことは あまりない 押入れの中で 震えている子ども だらしなく弱く 惰性でチャリを漕ぐ 海の心臓 抱きしめにいく 時計の針の進む音とか 学校のチャイムを 壊したかった ジャングルジムの上で UFOを探した 鳩に食パンを投げつける そういうおじさ…

体毛を失った猿

惰性ですが? 葉が揺れる その度に怒らないで 心ってやつを手に入れたくて 糸をほじほじしている 天国の階段上れる 何かのための空間が多すぎるから 柔らかな檻に逃げ込むんです 研ぎ澄ませたら枯れ果てた もう一度あの場所に触ろう 一番楽しいこと以外 ゆっ…

開けないで 名前を呼ぶ 一人だけ夏 つまらない 信じたくないものは 信じなくていい 身体の部位 冷えていく 首まで浸かって 困難だと感じる まとわりつく そわそわとする 増えていく 気持ちよくなっていく じっとしている 虫みたいに 手首を切ったりしている …

カルマ

これが全部だから これで最後にしよう 少女みたいにして 一人だけ夏になっている 意味もなく魂を揺さぶられる 美しい人 喉の奥から血の匂いがする 耐えきれなくなった建物が 崩れる また何かしてしまったのだろうか 淡い残像に 気を取られている 小さな太陽 …

瑞々しく揺れ動く 血のように赤い もし魂があれば ただじっとそれを見ていた 代わり番こに教えて 私は何もできないから 勝手に影を踏む 花のつもりで 小さく揺れる 流動的なままで 夢から覚めて 丁寧に辞めるだけだ 子どもじゃないならね でも赤ちゃんだから…

宇宙が近づいてくる 楽しかったね 嘘だった ざらざらした手ざわり ゆっくり丁寧に書いていけば 追いつかない 心地のいい疲労感 物語を終わらせる 音楽が鳴りやんで 一瞬の沈黙 夕景が膨らむ 知っている響き 硬い骨の内側で 歴史は繰り返す 昔の自分と似たよ…

水彩画

花を添えて 光をかざして 手に入れては沈める ほっとする 弛緩した挨拶 渦を集めて飛ぶ 簡単に もう一度眠りの中で確かめて 手のひらの感覚 全部嘘だけど 全部大切 舟を浮かべる 小さなまま 捨てられずに来た 誰にも触れられない 朝、昼、夜、夢 使い古して …

早く行かなきゃ 植物の匂い 食べるだけ 小さな身体で 朝を零していく 延長線上に繋ぐために 照らす 皮膚と皮膚をこすりつける 因果関係を見失う 道は腐って落ちる 大丈夫、きっと、今はまだ 大丈夫と口にした瞬間から大丈夫じゃなくなるから 海を口に含んで …

通過する音

夕方のチャイム 風の階段 意味を詰まらせる 一つ一つ落とす 冬が近い 昨日も今日もなく 惑星が回転していくだけ 摺りガラスごしの影が 消える どんな風に贈ろう もう一度あれを体験するのなら 後ろ向きに進む 謝らなければいけないことがたくさんある 柔らか…

大体のものはいらない ゴミを浴びて 回転する 最適なタイミングで それをキャッチする さあ行こう、さようなら まだいつか何を言うか 小さな心で 橙色を追いかける そんな風に使い古していく言葉 新しいままでいて 白い服を着て 会いたい 実際はほころびた …

崩れていく風景の中で 白い服を着て 虹の外側が温かい 真夜中に目覚めて 綱渡りを続ける 大きな声で呼んで もう一度届く もう一度開く 闇が闇に飲まれる またそんな言葉の使い方で 傷痕が雨に濡れる 電話ボックスの中で トンネルを抜けたら そのことを誰かに…

守られた場所

風景に溶ける 思い込みをなくす 水と風の調和 渡り鳥が飛び立つ 花が落ちる 上手く話せない 太陽が落ちるまでに やらなきゃいけないことが 淡々と時を刻む 当たり前のように老いていく 喉が乾いていることに気付いていない 社会の中で 羽毛をくれ 声が繋がる…

天使の後を追って 迷子になる 光る雫 でもそれはそれで 匂いが 小さな約束だけ 耳元で深く呼吸をした すれ違ったまま 帰り道を何度も見失って 電車が通過する音 そんな風に 指が動く いつか海にやってくる そんな風になるのは嫌だ まだ雨を待つような 意識の…

柔らかさ

当たり前のことのように 通り過ぎたり 月は匂いを聴く 窓を開けるまではわからない 上っているのか下っているのか 踏切の音が夜に木霊して 何かを刺す 朝を示唆する 小さく固く冷たくなった神さま 命を焚いて委ねる 組み立てては壊す 蔦が絡まっていくのを見…

架空の海

熱がある 虹を通過して 終点まで プールで溺れる 大人がいないから何でもできる カセットテープは伸び縮み 光の欠片が鋭い じっとしている 流動的だから 音に敏感になる 小さな夜を抱っこして開く 階段を上ればそれが登場する 点と線を結んでいく仕事 戦いの…

やらなければいけないこと

背中がぞくぞくとして あの場所に帰れない 閉じ込めれられて絡まる 夕焼けに近い色 嘘をつくことに慣れた子ども ゴミを捨てるみたいに やらなければいけないことがある 恥ずかしい 身体中で数字が蠢く 知ってほしい 温かさと冷たさが入り混じって 交互に脳を…

ささやかな葬式

身体を 攫われて 笑っている 教室の一部として 橙色の 触って 遊ぼう 機械を操作するみたいに 転んだらおしまい 二日連続で 夕日が沈む 体育座りをさせられる 柔らかな檻の中で 邂逅する 透明になってもきっといる 心臓がざわざわする 花を集めて 白いカーテ…

1/12(火)曇り・細い雨

力が出ない。無音のさざめき。赤や青の大人しい存在。にこにこと笑いながら太陽の下で、懐かしい影を撫ぜる。その波が行ったり来たり。強く手を引く。貝殻を飾って、箱庭を埋めて、大切な空が落ちてくるイメージで、薬と刃物のような、一掴みの欠片。頼りな…

水に

よみうりランドに行かない? 影はぴったりと収まる 触れようとすれば 透明な水の質量 肺を犯していく 温度もない 生臭さが充満して 出口がない 言の葉は静かに揺れる ちりんちりん その痛みを想像することができる 秘密を嗅いで 橙色を泳ぐ 果てるまで さよ…

千代さん

苦い それを知っている 毛布にくるまる 橙色の夜 不時着する 昨日から明日への向こう 観葉植物、名前をつけた 心臓の周りが緊張する きっと来ないだろう 冴えていく 攫って 惑星の運航に身を任せてばかりで 傷だらけの詩を保護して 今日は幼稚園ないの? 日…

気にしなくていいのに 日々のまどろみ 街灯をなぞって 小さな生き物 なんとなく嫌だ どれほど満たされていても 静かな窓開けて たくさんのことを台無しにしてきた手 階段を駆け下りる 光の赤ちゃん おいで 悲しいだけで終わりたくない 追いかけて老いていく …

老いていく

手を取って 白く濁るまで 時間を巻き戻して 揺れながら もう一度夏が来れば 鏡合わせで 欠片と欠片を繫ぐ人 もう少し違うやり方があった 些末なことばかりに気を取られ 墓石は冷たく こんな風になる必要はなかった 脳みそが溶け出すくらい愛したかった コン…

子供のままで 歩道橋を渡る きらきらと引き延ばして コンビニで肉まんを買う この身体の中にある風 壁 意味のないものほど美しいと思う 季節を渡る鳥 諦めたら楽になれる 冬の日の太陽を思う 一つ一つ川に流す 羽根を開いて 全部失くした後は 喜びも悲しみも…

花の名前

誘っている 見つかるまで 誰もいない大学とか 噴水の虹 逃げ出してきた子犬 信じたり委ねる 呼吸 何か言いたい まぶたの裏側で 何も付け足さないままで あの時歩いた道をもう一度 小さなきらめき 5歳のように 抱きしめる 鉄塔に昇って きっとあの中に隠れて …

ひとひら

魚のように しんとして 意識の蓋を開ける 誰かが出る 匂いのような ある日、照らされて 季節を透かす じっとしているうちに どこにでも行ける 神様の子ども 迷子の 美しい皮膚 形作る、飾り付ける もう一度やり直そう 振り返った後ろの正面が未来 胎児の姿勢…

透明な粒 窓越しの許し 羽が足りない どこかに行って 何かを食べたい 冬がくる いらないものばかり 森に逃げ込む 命を危険に晒す 語るべき影について とぼとぼ歩く 寂しかった 同じような塊をそっと受け止めるように 匂いに似た性質 弦を奏でる時に 安全な場…

低下 まだわからないのか 死んでる 窓を打つ雨 部屋 力を緩める どこまでも 行くしかない 自転車操業 冷たい 本能的に忌避する 沈黙の皮を剥ぐ 薬を飲むために 森がざわめくたびに 奇妙な相関を目にするたびに 美しく見える 文字を追いかける 気が散る 心臓…

暗闇の毛布

雨 何も見えてない もっとちゃんと普通にしてたい もっとちゃんともこもこしてたい 光 白けたまま朝 感じが違う 容れ物を間違えたまま 小さな歌を歌っている 変なの どこにいるの 冷たさがやってくる 背丈よりも大きな どんな言葉があり得るだろうか 揺れる…