坂道
もう思い出すことは
あまりない
押入れの中で
震えている子ども
だらしなく弱く
惰性でチャリを漕ぐ
海の心臓
抱きしめにいく
時計の針の進む音とか
学校のチャイムを
壊したかった
ジャングルジムの上で
UFOを探した
鳩に食パンを投げつける
そういうおじさんに
なる
冬の木漏れ日のあいだで
ただじっと座って
何かを待っている
傷口をほじくるようなことを
馬鹿だな
天使に会いたい
強すぎる光
脊髄反射で逃げた
怯えた小動物のような母親に
何か物とかを投げつける夢を見た
目覚まし時計とか
コーヒーは味気なく
飽きている
真実を知っても
多分どうすることもできない
信じたくないことを信じない
坂道
自分を運ぶスピードに慣れない