老いていく
手を取って
白く濁るまで
時間を巻き戻して
揺れながら
もう一度夏が来れば
鏡合わせで
欠片と欠片を繫ぐ人
もう少し違うやり方があった
些末なことばかりに気を取られ
墓石は冷たく
こんな風になる必要はなかった
脳みそが溶け出すくらい愛したかった
コンビニで肉まんを買う
通過した駅の名前をいちいち覚えていない
居心地が悪いとだけ思う
不気味なほど温かい何か
窓の外は細い雨
好きにすればいい
あの時死んでいればというタイミングは何回かあった
花になればいい
嫌いな歌を誰かが歌う
辿り着けるだろうか
最後までちゃんとしたい
あんなところから落ちたら壊れる
想像の埒外で始まる
会いに行けばいい、すぐに
頼りなく羽根を震わせて
一歩ずつ置いていくだけだ