日報

あるいは遺書

りゅう

架空の海

熱がある


虹を通過して


終点まで


プールで溺れる


大人がいないから何でもできる


カセットテープは伸び縮み


光の欠片が鋭い


じっとしている


流動的だから


音に敏感になる


小さな夜を抱っこして開く


階段を上ればそれが登場する


点と線を結んでいく仕事


戦いの歌


美しいものは守られない


望まないから


時間まではちゃんとやろう


そういう風にできている


端っこと端っこで


少し笑い合う


塔がある


どこに連れて行くんだろう


緒は切断される


切り口に寄り添う


清潔な春


保健室のベッドは白く


遊びのように血が垂れる


呼吸するたびに朝が零れる


水面の像が滲む


架空の海に浮いている


いつまでもふたりで


手のひらは冷たい


誰にも見つからない場所で


でも水が行き渡らないと


まぶたの裏に手を伸ばす


同じように排泄をする