日報

あるいは遺書

りゅう

雨に濡れた烏が

 

翼を大きく広げて

 

ベランダの窓からそれを見ていた

 

窓がいっぱいある

 

そのどれにも入ることがない

 

ここにいるようでいない

 

簡単に日々を使い果たしていく

 

冷蔵庫をあける

 

キウイがもうない

 

影と影が混ざりそれに気づかない

 

不快な通知音

 

脳の内部の音

 

誰かに会うために生きている

 

価値があるものがたくさんある

 

そのどれにも入ることがないのだとしたら

 

綺麗な湖を探しにいく

 

嘘をつくのをもうやめたい

 

生活に必要な物なんてない

 

横断歩道を渡る

 

俺はいつの間にか外をうろうろしている

 

雨に濡れていく

 

それは気持ちがいい

 

あの人の気持ちが分かりそうになる

 

でもそのことはもう言わないでおこう

 

夢中になる

 

宙づりになる

 

身体があるということについて何かを考え

 

すぐに忘れた