日報

あるいは遺書

りゅう

窓辺で光を浴びるのは誰?

 

秘密の花が伸びる

 

名前が必要ないくらい

 

美しい

 

まだ呼べない

 

きゅんってする

 

湯気を吐き出す

 

同じことを繰り返しているよね

 

手と手を重ねる

 

今という瞬間は個体の識別が必要ないから

 

絡まったコードが静かに息をして

 

埃が舞い散る

 

ここに来てよ

 

誰にもわからない暗号で

 

伝える以前の儀式をする

 

猫がすり寄ってくるように

 

古代の魔法が喪失の模様を写し取る

 

心臓がそう言うから

 

どこにも居場所がないまま

 

感情が動いた

 

まだ物語の中に配置されない

 

水が美味しい

 

くだらないよね

 

机と机をくっつける

 

まだ誰も来てない教室で

 

始まる前の海の歌

 

境界が薄れる

 

時計の針がちくたく刻む

 

冗談みたいに

 

誰からも見えないだろう

 

疑うことも知らないまま

 

吸って吐いて夢

 

0に近づく

 

ほとんどほどける

 

輪のように入れ替わって笑う

 

命が揺れる

 

花のように

 

興味がないんだ

 

勝手に流されていく

 

ここで暮らす意味なんて

 

何でもいいから何か伝えたかった

 

朝が始まる前に

 

戦闘機が飛び立つ

 

靄が蠢く

 

虫の隊列

 

這っていく

 

始めなければ、そうしなければ

 

金魚鉢の中の無重力

 

空に住めたらいいな

 

あなたと私はだんだん似てくる