日報

あるいは遺書

りゅう

地球の上に付着している

 

原始の海を泳いで

 

時間が経っていくのを感じる

 

それは感じるためのものだ

 

夕闇の雲の間に

 

宝物が隠されていくみたいに

 

今君のことを思い出した

 

私がこれを語る意味はなんだろう

 

誰にもわからない形を

 

抱きしめていたいと思った

 

お腹の奥の方が痛くなっている

 

木の葉の揺らめきがその影を揺らして

 

辿っていく

 

ふとページをめくる手が止まる

 

今君のことを思い出した

 

誰かの背後で

 

全ての存在の後ろで

 

君に、君だけに繋がっていく線

 

そうして今日も図形が描かれる

 

朝のニュースの中にそれを見る

 

暗いジャングルの中を分け入っていくような

 

意味のない時間

 

コーヒー冷めてるよ

 

ふと振り返る

 

急いではならない

 

何もかも数量に取って代わる砂嵐のノイズの中で

 

今君のことを思い出した

 

明け方の空を見て

 

たまたま死を免れたその命を抱きしめた

 

誰かが誰かを支配して

 

戦い始める

 

これは未来の叫びなの

 

今は強い言葉を欲しない

 

欲しない肉体が横たわる

 

私から私が遊離していく時

 

5歳のあの時

 

差異はなく

 

咲いている

 

そこにたどり着いた時に

 

私に会えるのかもしれないと思っている

 

安心を分け与えている

 

逃げること、許すこと、停滞と入れ替わりの平衡

 

熱いお湯を呑んでいる

 

闇に捉われる

 

その意味がより際立つ時に

 

解体してその向こう側で

 

また電話して

 

畳が冷たい

 

乾いたごはんつぶ

 

押入れの中の幽霊が見てる

 

未確定の粒子

 

おいしい?

 

顔がなくなっていくんだ

 

こわいよ

 

あなたは帰る

 

最後の場所へ

 

最初の海へ

 

0なんて誰が言い出したんだろう

 

私にはさっぱり意味がわからない

 

戦車が唸る

 

永遠なんて冗談は

 

クリスマスと同じくらい好きで

 

洞窟の中は暗くて息苦しくてくさい

 

また会いたい

 

動いていく

 

また空が見たい

 

誰かであった記憶が流れ出す

 

通り抜けていく

 

これも物語の一つ

 

誰かが泣いている

 

それは私であったかもしれないのに

 

花の名前を忘れる

 

星の形を忘れる

 

走り方を、笑い方を、声の出し方を忘れる

 

かゆい

 

1秒前の私

 

遊離していく

 

私は私の身体を使う

 

何か大きなものの前に跪いて

 

その正体を私は知らない

 

私は妹を抱っこしていた

 

まだ幼い妹

 

名前すら必要ないほどに

 

愛おしくて尊い

 

だんだん0に近づいて

 

それは単なる妄想なのに

 

私には刃のように鋭い

 

地球の音をきいてる

 

大丈夫であればいいのにと思う

 

私には言葉の使い方がわからない

 

あなたがあなたであることに

 

あなたが傷つくことのないように

 

これからはそういうふうにこの身体を使いたいと

 

どこかの未来でそう願っている

 

色と色が無造作に重なり始める

 

複雑な推移

 

わかるためには言葉はいらないんだ

 

本当に

 

これは言葉ですらない

 

白と黒の配合の比率

 

教室の窓から埃っぽい春の空気が

 

私の肢体をずたずたに引き裂いて

 

このまま消えてなくなってしまいたいような

 

今、いる

 

その境目

 

絶望も希望も全部ひっくり返る

 

ここにあるものが全てだから