日報

あるいは遺書

りゅう

街なかで


二つ折る


お湯が冷めるまで


ここで言葉を書く


膨らんだまま


震えたまま


なくなった命のこと


もっと何もない方へ


季節が滑り出す


石段を昇って


気球は萎んで


幸せだよと歌う


名前のない土


複雑な感覚


痛みが消えていく


冬虫夏草


子どもの幽霊


身体の内側から何かが


海の音大人しく


母親に手をひかれて


瞼を開いては閉じる


世界の違いを集める


ふわふわ浮かぶ


変な白い生き物


あたたかい


虹の渦


手を叩く


網目を解く


翼の中


擦り切れて汚れて


何もなくなりたい


とても可愛い