日報

あるいは遺書

りゅう

帰り道

橙色に染まる


声だけが教える


無が押し寄せてくる


閉ざされた部屋に


折り目をつけて


しわくちゃの手


お経を


誰もいないから


冷たく固く


頼りなく


風に舞うレジ袋みたいに


なれたらいいのに


成長の止まった植物


もうこれ以上は


くたびれた天井


記憶の祠


窓を見つけて


空を見上げる


てんとうむし


春になれば


また新しい泡


帰り道を失くして


恐い


血の痕


しゃがみこむ


大切なものを


川に流す


痛みと引き換えに何かを得ると


痛みそのものがもっと欲しくなる


誰かが見つけてあげなくては


時間が巻き戻り


夜が始まる


ゆらゆらと揺れている


徐々にバランスを欠いて


それを誰かが記録しなくては


人は人の創ったものの中で壊れる


飛行機がビルに突っ込む映像


玩具みたいに