日報

あるいは遺書

りゅう

楽器

大切なことを忘れていたと気づいて


走って戻った


でも


丁寧に折り畳む


あまりにも巨大な希望は暴力のようになって


最後には冷たく宣告するように響く


白黒のお線香の匂い


いないはずの人がいて


波の音はいつまでも打ち寄せる


溺れそうなくらい


身体を浸して


火を意識する


強く


形を変えた祈り


忘れよう、全部


渦のように抜けていく


閉じ込められた子供


まだ間に合うだろうか


最果ての魔法を使う


胎児の姿勢で


意味を失くす


形を失くす


お願いします


海月のように漂流する


必ず会える


抱きしめられたその時に


全部失くした


一人であることがわかった


温かくて柔らかい


光は遠ざかる


僕を置いて


僕を乗せて


何か楽器を鳴らしたいと思った


弦でも声でも何でもいい


そういう風にして


適当に頁をめくってみる


少しだけ勇気がいる


少しだけ落ち着かないような気がしている