日報

あるいは遺書

りゅう

輪廻

見たこともない景色


透明な意識


五月の妖精になった


この世界を構成する要素の一つとして


声の温度


足の裏の地球の感覚


天国、地獄、渦を巻く


竜だ


音楽の端っこを捕まえる


くじらの背中に乗って


夏を食べる


光が葉脈を伝って


まばたき


ほどける


誰でもないのに


誰かが呼んでる


深い穴の底


怖いけど気持ちいい


逆さまになって


気づかれないようにそっと入れ換えよう


また歯車が廻りだす


古い時計がチクタク


愛を知らない子ども


森の奥へ、もっと奥へ


胸をつく言葉、とんとん


ボリュームを絞って


耳を澄ませる


過去や未来をもっと現在の近くへ


微かな痛みに身を任せて


雨の音


みなしごのゆりかご


回転木馬と天気輪の柱


風を切って


止まらなくなる


私たちはひとりじゃない


私たちはみんなじゃない


ふたりなんだ、光と影


蓄えて、嗅ぎ分けて


わざと遠回りする


神経回路を張り巡らせて


空を夢見る


空を伝っていく


細胞が分裂する感じ


境目はない


今日と明日を繋げていく


生まれ変わる


みちがえる


嗅覚と皮膚で愛を抱きしめる


言葉になる前の言葉を発音する


温かくて冷たくて


揺らぐ蜃気楼の中で


やりたいことがやるべきことだ


誕生日おめでとう


9歳のままここにいる


火を灯そう


その震えに同期して


怒りの中の優しさを撫でて


再び巡り合う日まで


柔らかい影にもたれている