2020-03-23 無題 自分が幸福であることに戸惑う必要はないんだ 硝子を湖に沈めながら 魚の人はどこか遠くを見ている 海を渡る風に乗って行きたい まだ太陽の香りの残った街を 数を数えるように足早に通り過ぎて 記憶が熱を帯びていく 絵の具が混ざるみたいに 銀河鉄道の夜 仏壇の匂い 白い影の夢 温かくて清潔な水の夢 光の扉を開ける 私は私であることを簡単にやめられるし 私は私であることに簡単にまた戻れる 月の満ち欠けと共に細胞は入れ替わっていき 星の巡り方から情報を引き出す 引き受けた罪の痛み 君がどこか遠くへ行った後も巡り合い続ける 青い蝶の模様 未来から過去へ