日報

あるいは遺書

りゅう

無題

自分が幸福であることに戸惑う必要はないんだ


硝子を湖に沈めながら


魚の人はどこか遠くを見ている


海を渡る風に乗って行きたい


まだ太陽の香りの残った街を


数を数えるように足早に通り過ぎて


記憶が熱を帯びていく


絵の具が混ざるみたいに


銀河鉄道の夜


仏壇の匂い


白い影の夢


温かくて清潔な水の夢


光の扉を開ける


私は私であることを簡単にやめられるし


私は私であることに簡単にまた戻れる


月の満ち欠けと共に細胞は入れ替わっていき


星の巡り方から情報を引き出す


引き受けた罪の痛み


君がどこか遠くへ行った後も巡り合い続ける


青い蝶の模様


未来から過去へ