2020-03-24 どちらでもないもの 粛々と家事をする 光の雨が染み込んで 隠れていたものを 丁寧に見つける 学校も図書館も閉鎖されて 不要不急の外出はお控えください 桜が咲いた 子供たちは旅に出る 虹の橋を渡る 昆虫の足音 蔦の絡まった日本家屋 素粒子のゆらめき 甘い香り 火葬場で燃やされた君は そうしてまた地球を構成する要素の一つとなって 清潔な空気をわたしは呼吸する カーテンが春の風に揺れる 踊るように 白と黒のまだらを集めて どちらでもないものたちを飾って 壁につくる影で遊ぼう 横たわる 逆さまの世界 心臓が音を立てて時計の針を進める 名前の知らない花が咲く 夕方5時に取り残された隅っこ 暗がりで鮮やかによみがえるもの