小さな春の台風
小さな祈りを両手で抱いて
少女だった頃から無数の星は蠢き
痛みと光のシンメトリに初めて触れた時
生まれたばかりの空を見上げた
君はどこから来たのと
答えのない問いかけをする
その沈黙が愛おしいのだ
目を閉じて
小さな風船になって
上昇気流に巻き上げられる
赤、白、緑、黄、青、橙、紺
わたしの破片たち
桃色の花びらになって
君の行手にはらはらと舞い落ちる
祝福をありがとう
心の祠
扉を開いて
光の射す方へ
時間を伸ばしたり縮めたり
一つずつ五線譜に置いていく
愛を発音する
君にしか出せない声で
君にしか果たせない約束を
銀河の片隅
窓を開けて
小さな春の台風が
君の髪を揺らした