日報

あるいは遺書

りゅう

速度

季節を跨ぐ


言葉を浴びる


細胞が反応する


青の奥深く


見ているのは誰?


朝日を照り返す


秒速30万kmで飛ぶ


繰り返すたびに


生まれ変わるために


最初に思いついたことをやろう


月の雫が


血管を伝って


心臓の内側を濡らす


昆虫の足音を聴く


ブランコに揺られては


遠ざかる


がたんごとん


柔らかいまま


空の底、海の果て


風を通す


未来の記憶


入れ替わって、また元通り


歩道橋を渡れば君の街


夕焼けを映す窓


ビー玉みたい


未完成の絵


変化してしまう


光を継ぎ接ぎする


ここにおいで


わたしの子


一瞬の中で忘れそうになる


精一杯手を伸ばす

 

ほころぶ

開かない歌


天使がおちる


絵本の中で


見るということについて


海にいきたい


雨が上がったら


寂しいままで


空っぽになって浮く


コーヒーを淹れて窓辺で詩を書く


明日も続いていたら


おばあちゃんに会いたい


セーターにてんとう虫がとまる


祠の前で目を閉じる


ほころぶ


それが好き


いっぱい寝たのに眠い


音のない映画みたいに


次々と現れては消えるみたいに


春ですよ


呼びかける


忘れたまま思い出す


菜の花を揺らす


影法師が遊んでいる


まだ光だったころ


その中に空があった


今もある


見ている


頬をふるわす


小さな小さな風をとらえる

 

晴れた日

 

 

晴れた日 海へ 車に乗って
まばたき 静かにふるえるこまく

神様の音符 金色の風 未来から過去へ
カナリアの声を真似て 青へ

ゆらりゆれ さよなら こぼれたはな
ふかいゆめ まよなか はねひらいた
うしなわれたからだ ただ あなたは
まえをむいてとぶんだ

数える 一つ一つ 大丈夫だよと言った
痛みと光をなぞって 抱かれて

慈しむ
詩を編む
白と黒の狭間
ここにいる
影を踏む
混ざり合いながら