日報

あるいは遺書

りゅう

あなたは心臓を掻きむしる

 

血に濡れた手で

 

子供を抱きしめる

 

狭い部屋

 

匂いも麻痺して

 

木漏れ日がふわふわ浮かぶ

 

テレビで戦争が始まる

 

何か始めないと

 

苦しい

 

出掛けては帰っていく

 

人影が行進する

 

夕日、夜、交互に

 

お帰りなさい

 

よく切れそうな鋭い月

 

わからない

 

君は絵本の中に入っていく

 

私を置いて

 

震えて眠れない

 

言葉になる前の叫び

 

大切にできなかった

 

正直に生きれなかった

 

誰かの魂が重なっていく

 

俺自身が幽霊だった

 

帰れるところがもうないんだ

 

だから旅をしていたい

 

ただ浮かんでいたい

 

流されていくように、飛ばされていくように

 

どうなっても大丈夫だよ

 

形を変えて存在し続ける

 

図書室の片隅で

 

木造校舎の裏で

 

言葉なんて通じなくたっていい

 

好きなようにすればいいのに

 

お前は役割を欲している

 

似ている誰かを探している

 

あの中を通り抜けるためには

 

精一杯軽くなる必要がある

 

どこまでも広がる無限の空

 

怖い

 

憧れ

 

糸が切れていく

 

意図がずれていく

 

それでいい?

 

確かめる相手もいない

 

ただただ息づいているだけだ