日報

あるいは遺書

りゅう

石垣の向こう

 

ヨットが滑っていく

 

それは冷たくなって消える

 

今朝は悪夢を見た

 

にも関わらず目覚めはすっきりしていた

 

窓の水滴が落ちる

 

コーヒーの湯気が消える

 

絵の具を溶かしたような雲を

 

老人のようにただじっと眺める

 

もうやること全部やってしまったような気になる

 

もっと酒を飲むことを楽しめればよかった

 

どこにいても浮いている俺は

 

やんばるの濃い緑からも

 

冬の高い空からも分離している

 

土埃でくたびれた自衛官募集の横断幕に

 

何故か親しみを感じる

 

言葉は無力だ

 

装飾すればするほど虚しい

 

愛してる以外いるのか

 

あとは狩りでもしていればよろしい

 

狭い箱の中から苦労して脱出したら

 

もっと狭い箱がある

 

そういうものだろう

 

お前は脱出に囚われている

 

感情が排水口に吸い込まれていく

 

何年も前にいなくなったあなたの

 

愛すべき声

 

爆弾が落ちてきて一発でやられたいなんて

 

百年も前から言われているらしい

 

この魂を売り渡す相手を探している

 

廃墟のラブホテル

 

それは美しい

 

まずは目に見えるものをしっかりと存在させたい