日報

あるいは遺書

りゅう

去るよ

 

ただいま

 

可能性の原子

 

滅亡した後の

 

屈託のない笑み

 

もう迷わなくていい

 

過ぎ去る人々

 

どこへ行くの

 

かわせみが歌う

 

歌詞を書いている

 

どこにもないのだろう

 

あなたの他には

 

痛みと解放

 

感性に従って

 

奔放に

 

ゆっくり降りていく

 

地獄が広がっている

 

炎の赤

 

貝殻拾った

 

子供の手で

 

傷だらけの腕で

 

寄せては返す透明な水のさざめきに触れた

 

信じられないくらいに残酷な物語

 

三つ編み切って

 

臍の緒も切った

 

からだの歌を歌う

 

どこにも隠れる場所がなく

 

機械の歌を歌う

 

連れていかれる

 

犬の遠吠え

 

晩ごはんの匂い

 

お前はもう子どもじゃない

 

絶望を飼い慣らした指で

 

女の皮膚をまさぐる

 

もうすぐ船が出るよ

 

風にはためく洗濯物が美しい

 

もう喋ることもなくなって

 

二人ともうつむく

 

完全に管理された駅の構内

 

もう迷わなくて済むように

 

渡鳥のように

 

人が人であるために

 

祈りが穢れる前に

 

準備できたよ

 

静かにマグカップを置く

 

たくさんの出来事に覚悟をしている

 

いつかわかるようになる日が来るだろうか