日報

あるいは遺書

りゅう

痕跡

弱い光


ようこそ


静かな浜


女の人が歌っている


白い貝殻


誰もいない、誰もいない


名前もない


繰り返す呼吸


あてもなくふらふらする


存在する


空の高さ、森の深さ


波紋が広がる


自分じゃない誰かの記憶


神経の底の底まで冷やす


鍵穴を覗き込む


傷が癒える


影を抱いている


ボールが転がる


美しい花園


卵を産みつける


喜びに蓋をする


鳥がさっとかすめる


真実には程遠い


誘うような気の流れ


どこにも行けないような気がする


それに手を伸ばす


柔らかい感覚


不思議な配列


誰かがいた痕跡がある


木の幹の模様、風の吹き方、色の反射


人差し指の差す方へ


歩いていく


眠くなるまで


白くなるまで