日報

あるいは遺書

りゅう

春の終わり

なだれ込んでくる


たくさんの声が


白い鉄塔


記憶をこういう風にする


誰しもその瞬間がある


貝殻を集めて


近くて遠い


数えている


頼りなく震える


湯気を食べる


そんな小さな生き物


分裂して


またどこかで


紫陽花の花飾り


雨に濡れた路面


不思議な輪がある


どこから来たの?


うしろめたさ


考えないようにしていることが


細胞と細胞の境目で


横たわる街


海の切れ端


手のひらを重ねる


扉が風で閉じる


季節を彩る


物語の行進


痛みが必要だった


誰かになりたかった


渦を巻く事象


コンクリートの向こう側へ


春の終わり


じっとしている


空中から降る