日報

あるいは遺書

りゅう

融解点

呼吸の仕方を忘れる


今日の風、今日の温度


枕元に悪夢が染みつく


カーテンを光で濡らす


天井と壁


大きくなったり小さくなったり


自分自身とそれを繋ぐ糸


そっと顔色を伺う子ども


カレーライスと麦茶


グラウンドに砂埃が舞う


知らない影が横切る


車のナンバープレートを眺める


ふらふらとどこかに行きたい


野生動物のように


太陽がちょうど隠れる


鍵盤の上を歩く猫


新しく知ることが楽しい


できたことができなくなるのがこわい


排水溝が渦を巻く


洗濯機がピーと鳴る


戦闘機が低く飛ぶ


5本の指で空白を埋める


お父さん、お母さん、小さな女の子


お人形と白い犬


習い事は憂鬱


上目遣いで見つめる


絵本のページをめくるように生きる


どれほどの孤独?


縁側に光が射す


おばあちゃんがいなくなる


使わなくなった椅子


魔法使いや不思議な鏡


眠る時に想像してしまう


汗をかく


それは分岐点


メイちゃんがトトロいるもんって言う


わたしもそう思う


お父さんが怒り始める


影がすっと濃くなる


押し入れに隠した宝物


それは交差点


あああ、と言う、ああああ


伸びすぎた髪


かわいいね


よい子になるために


給水塔から世界を見下ろす


不純物が混ざっていく


生まれ変わりたい、違う人になりたい


そう願う、強く願う


その日最果てが君を見初める


無垢な眼差し