日報

あるいは遺書

りゅう

回遊する魚

回遊する魚


照らされる


景色の断片


息の仕方を忘れて


黙る


家族の夕べ


一つずつ置いていく


糸を手繰り寄せて


子どもの目


誰の運命にもある


その穴


終わらない


孤独を見せて


今日も水を飲んだ


ふくらはぎむずがゆい


命の選別


借りぐらしのアリエッティみたいに


煙草の火を近づける


ある点に向かって進んでいる


茹ですぎたスパゲッティみたいに


もう遅いなんて言わないで


蓋を開ける


腐敗した思い出


誕生日おめでとう


白いあの中に行こう


シュミレーション仮説


サーカスみたいに


身体中の細胞が相反する


渦を巻く排水溝


気づかないうちに祈りを込めている


はっと我に返る夕方


トンネルの真ん中から


映写機の回る音


ぽとぽとと落ちる、滲む


ずっといなくなりたかった


暴力を梳く指


震えているの?


水と大地の狭間で


それぞれ異なる心臓の速さ


戦闘機が飛ぶ


雲の淡い色


水蒸気が集まっていきやがて


記憶が流れ出す


洗濯機が回る


地球が回る


誰にも会いたくなかった


それでもあなたは来た


正直に話そうと思う


カフェインを摂る


冷たい雨


白と黒の輪郭だけがはっきりとする


枠組み


新しい戦争


座標を書き換えるたびに


人間であることに躊躇いが生まれる


少し歩こう


水槽の中の金魚


母音の発音


取り除いていかなければ


需要と供給


神の手