日報

あるいは遺書

りゅう

静かな


雨が降り出す


流れるままにして


その動きの中で掴む


表情を動かす


触ってほしいから


形が知りたいから


猫を追いかける


階段を下りて踏切を渡る


ふと振り返る


誰もいない


行数だけが増えて


他には何もない


失いたくない


音楽を聴いている


それはどこからかやってくる


身体のない宇宙


季節のまじりあう音


冷たくて温かい


ああ、嫌だ


胎児の姿勢でうずくまる


お前には眼がある


心臓の震え方も分かる


ほんの些細な嘘を


風の渡っていく方向に


確かめるようにどこかに


置いてきた


たくさんの言葉


誰にも向けられないことば


お願いしますという


消えるのは怖くない


知ってるから


深く青く


お風呂に入りたい


声を聴いていたい


さよなら


まだ半袖じゃ寒いな


記憶が遠く跳ねていく


トンネルの続き


あなたの物語を探したいと思う


草がそよぐ


命には終わりがない