日報

あるいは遺書

りゅう

雨音

心臓の音が聴こえる


頼りなく揺れる船


月の欠けた部分


雨が降ればいいのに


誰もいない街


優しい歌になりたい


ひとつずつ空に帰す


卵の中で


夢を見ている


形を忘れる


また夜を想像している


死につつ生きる


大きな波に飲まれたら


白と黒しかなくなる


自分の身体が一番近くなる時


意味がない


木の葉がさらさらと音を立てる


我に返りつつ正気を失う


季節に犯されている


隔てるものがないから


手足が冷たい


河川敷に


天使の亡骸を埋める


体育館で体育座り


命が跳ねる


臓器が飛び出る


雨の音を想像する


物語は終わらない


何故なら終わりは始まりであるから


それを知ってる


お墓に頬を寄せる


大丈夫、大丈夫だと言う


あなたは最後まで優しかった