日報

あるいは遺書

りゅう

静かなおかえり

足音


影を抱いている


100年くらい経ったら


忘れてもいい


静かなおかえり


魂の居場所に閉じ込められて


光の皮膚が焼ける


まだ準備してたのに


季節が満ちて胸がいっぱいになる


赤ちゃんの匂い


物語の終わり


他のものは何もいらない


缶コーヒーと煙草と花


踏切を渡って


間に合わない 


意味を失うのをただ見ている


よだかの星が優しかった


だから届くように頑張る


観覧車がゆっくりゆっくり回っている


今だって戻れない選択をしている


もう一度会いにいくように


擦りガラス越しの太陽に頬を寄せる


青やオレンジがきらきら浮かんでは消える


この小さな振動が時空を隔てて


向こう側の彼方を震わせることもある


一緒に行こう、連れて行こう


まぶたの裏側で確かに見える


次の角を左に曲がる


液体のような柔らかさ


一瞬だけ重力を失くす