日報

あるいは遺書

りゅう

祠の歌

落とした


柔らかい雨粒


沈黙を手のひらで包み込むような仕草


教えて


必ず会える


通過する


変な夢を見た


身体の輪郭がまだ定まらない


触って、できるだけ強く


点滅


白い声


不可思議な朝


鳥が一斉に飛び立つ


意味がないことがなくなる


目の前を通り過ぎていく


消えてしまった後は


祠の歌


まだ少年だった頃の眼差し


死神が来る


ひりつく陽射し


河川敷で銃を拾った


波が押し寄せる


何もかも失ってから


名前を貰った


彼方から運ぶ風


目に映るものは全て立ちはだかる


大きく黒くなっていく


もう帰らない人


ゆっくりとしっかりと変質して


じっとその時を待っている


まだ歌えるか


心を空っぽにして


浴びる


最果てまで


加速して


振り返ってももう何もない