日報

あるいは遺書

りゅう

飛行機が来る

触れた指


瞬間的に感応して


冬が来る


もう間に合わないか


縫うように過ぎる


痛みは遅れてやってくるだろう


それまで日溜りにいよう


欠片を集めて


フランケンシュタインみたいな絵画


あなたは十字架にかけられて


行き交う人々は影絵のようになって


最後に何か言うことはないか


恐ろしく深い穴


誰の中にもある暗闇を浸す


4本の肢、水音


手離すために


記憶の階段を降りる


すれ違う瞬間の温度に灼かれて


飛行機が来る


あの景色を知っている


引き剥がされていくように


水を求めて身体を損なう


赤ちゃんの鳴き声


継承する


飲み込まれないで


そばにいて


ステンドグラスに夕日が射して


透明な何かが全身を循環する


憶えておこうと思う


墓石は黒く冷たい


清潔で安全な世界


四肢を折り曲げてあの人たちの真似をする


そこに青はなくとも


夜を呼ぶ、何度も


肺に入れては吐き出す


生きていくことは怖い


人は人を簡単に壊せる


ざらざらした感触


公園でシャボン玉を吹いた


帰る場所を教えてあげたかった


せめて言霊を唱える


この姿のままで


できれば最後までやりたい