麻酔
記憶が降る夜
0に近づく
あなたは祝福された子供
長い眠りの中で
またあの場所で
柔らかくなりたい
白い指先
奏でる形
愛したいのに
土星の環みたいな
今日も寝言
心臓の裏側で咲く
真っ赤な花
鋭い痛み
温かい陽射し
どこか遠くへ
目的地はないけど
洗濯物がはたはたと揺れる
遊ぼうよ
あなたはあなたである必要はない
内側に輝きを秘めている
静かに笑う
毎日少しずつ遠ざかる
呼吸をしない街
滑り台のてっぺんで星と話す
心の深い部分に蔦が絡まっていく
いつまで生きればいいの?
煙みたいに
交通渋滞の光
今日も空が冷たい
あなたは何も悪くない
いつかどこかでまた会える?
またギターを弾きたい
喪失は虚無じゃない
糸が優しくほぐれていく
過去と未来が一つになるような風
麻痺したまま進む
麻痺した皮膚に触れる
触れようとしてくれたのが嬉しかった