日報

あるいは遺書

りゅう

沈黙を奏でる指

柔らかい


崩れ去る白


こんな日を待ってたのかもしれない


昼間からビールでも飲んでへらへらしてたい


細胞と細胞の知覚できない相互作用


鳥だった頃の、魚だった頃の、花だった頃の記憶


痛みや怒りが弾む


洗濯物が風に揺れる


わけもなく走り出す小学生


トンネルを抜けたら海


何もかも、一旦無かったこととして


影をくり抜く


沸騰する青


結果的に愛が足りなかった


照り返す光に溺れる


自分自身と対峙する必要はない


頁がめくれる、過去へ、過去へ


コントラスト


背景にある意識にそっと手を伸ばす


溶け合う感触


針の音


いつもあの匂いを探している


そんなに頑張らなくていいのに


道に迷ったらまたここにおいで


アイスクリーム食べようたまには


あとどれくらい生きられる?


それほどの価値がある?


木の葉が染まる


準備が進む


好きな言葉の配列を呟く


沈黙を奏でる指


本当は誰もが幽霊のような存在なんだ


冷たさに頬を寄せる


おやすみなさい、ばいばい


遠心力で遠ざかる


記憶を永遠に失くす


金色の風が宇宙のどこかで


木立のざわめきに同化して


煙みたいになって


とぼとぼ歩く


ひとりで帰る