日報

あるいは遺書

りゅう

夏は終わった

心臓が騒ぐ


静かな祝祭


約束はほどけた


熱を保つ


耳鳴りが鳴りやまない


湖に映る月


瓦礫の下で


夜と朝の交わるところで


金木犀の香り、立ち止まる


写真に残した


平行世界のどこかではきっと


都市の残骸


さようなら


列車は行く


不規則な揺れに身を委ねながら


風景から意味が剥がれ落ちていく


最後までちゃんとしようなんて


意味のないことを考えては忘れる


液体となって流れ出す


日々のひび割れ


満ちる、欠ける


逃げる、追いかける


ただ知りたかっただけ


煙となって空へ昇る


お墓は冷たい


白と黒の世界


可能性の襞に沿って


いくつも折り重なる


歩き出す、特に理由もなく


あなたはあなたの悲しみを大切にしてあげて


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昆虫の足音が聞こえる


西日の射す部屋で待ってる


鼓動はメトロノーム


時計回りに何度も


大きくて深い穴の中へ


落ち葉みたいに


身体から力が抜けて笑みが零れる


まあなるようになるよ


正解を掴めたらいいね


夏は終わった