日報

あるいは遺書

りゅう

ここじゃないどこか

祈りの声


透きとおった


天使にも悪魔にもなる


可変的な柔軟な存在


きらきらと光る欠片


君は拾う


夏の熱さをたくさん吸った砂


飛び交う


目に見えない蝶


何かの記号を形作る


塔を建てる


光を遮って影が生まれる


わたしはそれを正しいと思う


わたしは誰?


白と黒の呼吸


鍵盤の上で踊る


惑星は回り続ける


誰かが誰かを傷つける時に


またあの響き


太陽を抱きしめて


灼けつくような温もり


愛は苦痛を和らげる力だろうか?


迷子のよその子


みなしごのゆりかご


窓は反射する


高いところから落ちる


怖かったんだね


風が優しく撫ぜる


風景がゆっくりと移り変わっていく


街にはもう誰もいない


長い年月をかけて


蔦が絡まる


雨は降り続く


粉々に砕けたステンドグラス


植物の意識は拡散する


空を目指して


美しい朝


粒子を食べて


物語は終わらない


細い糸でつながる


匂いを探す


貝殻を拾う


届かない手紙


ここにいてもいいの?


本当の嘘


恋をする


新しい鼓動


待つ


どこか遠くへ


ひろがっていく


舞う


神聖な


静謐な


どうかあの子の傷を癒して


扉を開く


古い時計の針の音


塔を登る


会いに行く


ここじゃないどこか


どこかではなくここ


内側へ、内側へ、そして外へ


存在が存在である場所


さようなら


はじめまして


上手く伝えられないけど


そばにいたいと思う


悲しみ、喜び


これまでも、これからも


痛みのない海