日報

あるいは遺書

りゅう

海の歌

塔の上から


次へ


揺れに合わせて


温かな彼方の音


くじらが空を泳ぐ


見覚えのある景色


そっと触れる


泡のように


小さな光


あなたが大切


誰も知らない孤独


影と話す


もう一つの世界


心臓へと繋ぐ


真っ赤な血


まるででたらめな


旅に出ることに決めた


誰かの悲しみをここで


開いた傘


一緒に帰ろう


長靴


夢の中に入る


重たい灰色


何かに似ている


一つに溶けていく


身体が軽くなって


まるで嘘のように


ここにいないかのように


綺麗な貝殻のように


鼻歌を歌っている


深海の都市


燃えないゴミ


逆さまの太陽


秘密の場所


絶対に失くしてはいけないものを


わたしはまた失った


車輪は回る


宇宙の大きさを初めて実感する


暗くて大きな穴に


落ちて消える


温かい手


ゆっくりと呼吸する


花瓶の花


白い病室


海岸線で


柔らかな西日を浴びて


成長する


空を目指して


どうしても一歩踏み出せなくて


ここに留まることになった


悲しみ、喜び


細胞に染み込む


生活は続く


どうする?


海の歌


漂流する透明な身体


二重の意味


目や耳以外の


世界は終わらない


エネルギーは流れる


二つのものは一つに溶け合い


新しい視点


たくさんの物事を


許せたらいいのに