日報

あるいは遺書

りゅう

傷の印

静謐な


流れ、渦


痛みの海


うずもれる


胎児の姿勢で


見つける


本を読む


窓の外は


陽射しの洪水


訪れる


音を連れて


意味の耳鳴り


染み渡る


卵の殻を破る


赤い呼吸


生と死が反転する


これからやってくるもののために


悼む


冷たく


瓦礫の山


根を張る


子どもたちの笑顔


どこにでも行ける


一つ一つ価値を付け足す


丁寧に


カーテンがたなびく


放課後のピアノ


白と黒


街を行き交う


暮れていく


小さな沈黙


取引が交わされる


そっと終わっていく


誰もが


綺麗、汚い


置き去りにする


貝殻を飾ろう


また一つ諦めて


目を伏せる


温かい色


安心する声


抱きしめたい


ゆっくりおやすみ


ファンタの泡に包まれて


昇っていく


宇宙の鼓動


秘密を分け合う


凍る夜の


誰も知らない


傷の印


時間が経つ、確かに


生まれたとき


どうだった?


花瓶の花


人差し指


ありがとう


暗い天井を見上げる


影の上で影が躍る


帰らなくちゃと彼は言う


悪意を浄化する


あなたはわたしではないから


分岐点


太陽の周期


優しく手を取る


ここにいよう


旅に出よう


分からないまま見つける


記憶の旅人