日報

あるいは遺書

りゅう

それによって時間が進む

灰色の部屋で


昂った神経を落ち着ける


見えすぎた色や聴きすぎた音


祓う


どこから来てどこへ行くの?


痛みそのものを好む人はいない


それほど多くのものを必要としているわけではない


月の陽射しの欠片を閉じ込める


誰かの願いが歴史の渦となる


触れた時の皮膚の抵抗感


しっかりとした手ごたえ


その手順をできるだけ意識する


それによって時間が進むイメージ


熱い


昨日から今日へ移行する


どの瞬間を切り取る?


魔法


生きていても、死んでいても


昆虫の行進


火を灯せ


巡り合う


柔らかな倦怠感に抱かれて


この生活をもう少し


たくさんの意味を含んだ光り


体を両側から引っ張られるように


その透明さを尊いものとして


バラバラになっても


遠く離れても


新しい季節が巡るたびに


初めて知った時の感触をありありと


そうやって水の上をすいすいと進む


廃墟の教会


ひび割れたステンドグラス


風が止んだら少し休もう


大きく空いた穴に悼む


存在と非存在の中間に佇む


微かな音


温度の変化


木の葉がひらひらと舞う


水面に落ちたそれはゆっくりと優しく波紋を広げる


そうしたものを失うことはなんとなく寂しいと思う


灼けつくような温もりの記憶


そっと目を伏せる


ただ移動していく


それだけを思い描いて