日報

あるいは遺書

りゅう

ここは誰でもない時間

開くために


時空は伸縮する


早く大人になりたい


聞いたこともない鳥の声


そして列車が通り過ぎる


いつもそこにいるの?


影は目を覚ます


大人しく


音もなく


静かに狂う


まだ知らないその先


誰かに会いたい


夏が暮れていく


魂の容れ物をそっと撫ぜて


届こうとする意志


灯火


気を付けて、慎重に


でも本当は迷子になりたい


放課後のチャイム


置いていかないで


積み上げてきたものが崩れる音


雲の上に乗って歩けたら


自転車、坂道、トンネル、海


横たわる


ふわふわと意識を飛ばす


綺麗な貝殻


いい匂いのする色


抱きしめて


地球の丸さを実感する


計測できない波動


耳鳴りを捕まえて


上昇気流に乗っていこう


いつも何度でも呼んでいる


ここは誰でもない時間


光は眩しい


幽霊のように彷徨う


そのうねりを体内に取り込む


内側で育っていく何者かの気配


不安と美しさが溶け合う


風の鳴る方へ


白い世界


羽根が開いていく