日報

あるいは遺書

りゅう

ここが最果て

子宮の中で


海を見つける


手を伸ばす



オレンジ色の雨上がり


記憶の欠片


左右非対称の成長


歩む


無人の駅で


透明な大きな


あの朝を呼ぶ


ゆっくりと、でも確かに


失っていく


君の痛み


今ここにあるものだけ


時空の狭間で


息をしている


それに気づく


同じような日々を過ごす


わからない、これからのことは


生まれては死ぬ


一日一度粛々と意識を失う


花瓶の花


病院の白


みんな虹を持ってる


天使でも悪魔でもあり魔法を使う


風の吹く場所に行きたいだけ


空とへその緒で繋がる


ここが最果てだ


なんとなく見覚えがある


色あせて傷んだ遊具


鈍く灰色にくすんだ団地


グラウンドに土埃が舞って


子供たちは下校する


どこまでも帰っていく


小さな輝くもの


廃墟の街で一人佇む


静けさを抱きしめるように


夜になって


満ちる、欠ける


不特定多数の祈りを星の中心に還す


この身体を通して


あなたとわたしの際に立って


誰にも聴こえないような小さな囁き声で呼ぶ


だからできるだけ心臓の音に耳を澄ませていて


あの夏を逃がさないように、何があっても