日報

あるいは遺書

りゅう

まどろみ

行けるところまで行ってみよう


魚になって


虹の輪っかをくぐって


水中に吹く風に揺られて


降り注ぐ声


染みついた匂い


どんなに遠く離れても


痛みや苦しみに意味を追加する


海底2万マイルに人工衛星の光


まるで捨てられた子犬みたいに


廻る廻る


心臓の力


ゆるやかに身を任せる


過去も未来ももう失くしたから


まばたき


長い旅


バラバラになったあなたの欠片


置いていかないで


細胞がそう叫ぶ


胎児の姿勢


夢を見ていたの?


木立のざわめき


朝と夜が相互に引き寄せ合う力の狭間で


目を閉じて目を覚ます


温かいミルク


何か伝えたいことがあったはずなのに


糸はほぐれて


透きとおる空の青


もうそろそろ行かなくちゃな


最後に煙草を吸ったら


木々はゆっくりと成長する


同じような日々の


同じような響き


まどろみ


大切な人の


もしくは大切だった人の笑顔


淡くなる


秘密を数える


手を繋ぎたかった


言葉は傷つけあうためではなく


距離を取るためでもなく


白いね


本当の嘘はどこ?


優しい起伏


このままいつまでも揺れていたい


輪郭をなぞる


毛布にくるまる


赤ちゃんの見る夢


信号を送る


真っ暗な宇宙に向けて


人差し指で指し示す


あなたが好きです


再び帰る


また生まれ変わる


何度でも出会う