日報

あるいは遺書

りゅう

理由のない場所で

根を張る


太陽


大粒の涙が頬を伝って



愛に関する記憶


戻る


汚す


温かな彼方から吹く風


扉を開けて


耳に馴染む音


あの時の君にもう一度会いたい


不確かな


海を漂う


意味を失う


ファンタの泡みたいに


蝉が響く


どこまでも道が続いている


炎天下


影法師


変化してしまう


可能性を辿っていく


選んだつもりはなくても選んだことになってしまう


そんな姿をそっと包む


水の声


仏壇のひんやりとした空気


手を伸ばしてみてもいい?


真実は一つじゃない


喪失は虚無じゃない


虹をつくる


存在を重ね合わせて


貝殻を集める


何かを迷っている


どうすればいい?


野菜を切り分ける音


台所の陰影


影がやってきては去っていく


酸素に揺られて


幽霊船のように


ひとさしゆび


雨だ


やがてあなたは記憶から消える


小さな小さな約束


花瓶の花


雫が垂れる


蝶の飛び方を真似て


季節と季節を切り裂いて


何かを見せようとしている?


あの悲しみを大切にされたかった


理由のない場所で


重力に任せて


ひとひら


仄かに光る


たおやかに満ちる


なんとなく安心する


五感を使って生きていく


そっと