日報

あるいは遺書

りゅう

どこまでも


届く


自転車を漕ぐ


低空飛行


夏の欠片が


輝く


取り返しがつかないほど


満ちる


迷子になる


太陽の周りを廻る


トンネルを抜けたら


新しい身体


結合して


浸食して


まるで最初からずっとそうだったかのように


ほどける


記憶と海を失くす


音もなく


木立のざわめき


ひび割れにそっと触る


日々


ふとした時に


命であることを意識する


似ているけど違う


光り、翳り


もうこれ以上殺さなくていい


寄せては返す


そのままにして


素粒子の震えを感じる


雨が降るように


風が稲穂の上を渡るように


なんとなくわかること


淡く


透明な渦に飲み込まれる


何もないけど全部ある


逆さまになって、また戻って


水中で咲く花


不安定なまま存在している


名前をつけよう


手のひら


すくってはこぼれる


バラバラになる


夕焼け小焼けの赤とんぼ


未来から過去へ


心臓の指し示す方へ


さようなら


空に還した


意味を失くした


足裏で地球に触る


入ってくる感覚


夢の中で


理由はいらない


ここにいよう


胎児の姿勢


その許しを許したいと思う


近くで、遠くで