日報

あるいは遺書

りゅう

記憶の窓に風を通すような


紫陽花の季節に


動物として生きることを選んだ


かくれんぼ


普通にしていたい


光の粒を踏む


響きと響きの間


水面に波紋が広がる


萩野竜侑


問いかける


影に触れる


閉園した遊園地


雨上がり、きらきらと


別に夢でもいい


大きな流れに抱かれて


心臓に手を当てる


近すぎず、遠すぎない距離


だんだん後ろへ流れていく景色


葉を這うかたつむり


指先で世界と繋がる


皮膚の下まで浸透していく


微かな愛しさが何かを変えてしまう


運命が切り替わる音


子宮の中まで太陽が照らす


暗い橙色


狭間に立っているのが好きだった


だけどいつまでも続くわけじゃない


細胞の声が聴きたい


遠く離れた命を悼む


扉を開けて、扉を閉める


壊れた傘


忘れた歌


見様見真似で飛ぶ


ゆっくりと空に落ちていく


よくわからないままここにいる


間違っているのかもしれない


なんとなく確かめ合う


不安だったのかもしれない


幽霊にでもなったような気分で


交互に縫う


トンネル、海


車に乗って


一応ここにいるよ


木の葉、はらはら


死の気配


白と黒の混じり合うところで


大昔にした約束


電気のように伝って


今すぐ声が聴きたい


どこかの誰かの生活


真夜中の小さな地震


煙草の煙が溶けていく


夜汽車が通る


透き通る


星の点滅


ただ前だけを見て飛ぶんだ


胸の奥の結晶に触れる


いつかどこかで巡り合う