日報

あるいは遺書

りゅう

雨が降り出す


ミルクが溶けていく


しとしと


眠りの中で眠りから覚める


私の中に私がいる


ふたたび


やってくる


感じている


細胞を光に濡らして


震えながら


バランスをとる


沈黙を使って話そう


目に見えないものの存在を信じる


記憶を揺らして


水の中にいるみたいな


光の屈折


底の方に夕焼けがあって


手を伸ばしてみる


焼けるような痛み


何がしたいの?


でもそれは譲れない


教室の冷たい影


あの時も雨が降っていた


木立のざわめき


絶え間なく車が通り過ぎる音


何十年も放置されたような染みが今更気になる


人を無邪気に傷つける人


すべては輪になる、最後は


貧困家庭


黒と灰の濃淡が混ざる


野菜を切り分ける音


この先に待ち受けるものをまだ知らない


悲しみと喜びの二重螺旋


じんじんと腫れる


なんでこんなに物が多いんだろう


何の役にも立たない物が


そろそろテレビを消して


蝶の飛び方を真似たい


自分の中にもう一人友だちがいればいいのに


でもそういうわけにもいかない


真夜中に目覚めて


大きな暗い穴に落ちていくような気持ち


罪が折り重なって


身動きが取れない


胎児の姿勢


誰かが誰かに手を差し伸べる


弱い者がさらに弱い者を守る


虹を思い浮かべる


その白い部分に指先を浸す


目を閉じてそのまま


時間と時間が交わる


必然だから


自分が世界の一部だと強く感じる


どこに向かっているの?


ずっと奥の方にいる神さま


気づけばまた祠の前にいて


祈り方を知らない


雨は降りやまない