日報

あるいは遺書

りゅう

雨が降りだす


しとしと


冷たく、白く


胎児の姿勢


窓辺の風景


記憶の糸を吐き出して


匂いを探す、何度でも


深い沈黙


温かく進む


光のように


まだ残っている力を順番にほどいて


移行する


その先を見ようとする


夜にだけ咲く花


疲労


空腹


好奇心


光と蔭の揺らめき方で


だんだん眠くなってしまう


ふと気が付くとまた入口に立っている


選んでは選ばれる


眩しくて目を細める


両手を拡げる、羽根が開く


ゆっくり、怖くないよ


空に落ちていく


青く滲むところまで


もっと読み取って


私の中を入っては出ていくもの


膨らみ、窪み


トンネル、海


桜並木


夏の子供たち


雨は降りやまない


夜と朝の交じり合うところで


遠くまで運ばれる


もう一度あの言葉を聴きたい


銀河鉄道


日々のひび割れ


木立を揺らす風


約束の細い糸


粛々と


連れ去る


静かな日曜日


黒い服を着た人たち


涙、笑顔


身体に意識を委ねながら


虹の白い部分に足を浸している


これからもっとよくなればいいね


自転車で坂を下る


かき氷、蝉、影法師


仲直り


日めくりカレンダーを日めくる


カーテンを開けて


同じようなことをまたやる


いらないものは捨てる


1と0の群れの世界


素粒子は踊る


光の粒を踏む


何か受け取る


抱きしめる


ふと振り返る


その瞬間に風が吹く


偶然じゃない


水面に幾重にも波紋が広がって


それを今はただ眺めている