日報

あるいは遺書

りゅう

天使とてんとうむしの歌

渦と光の


吹き溜まりみたいな場所


記憶が還った


沈黙を胸に秘めて


淡く描く


点と線をバラバラにする


網膜で触れる


空を飛ぶ


金色の風が吹いたら


目を閉じて


いつまでも終わらない


繰り返し


誰か違う人になって


またここに戻ってくる


またこの扉を開ける


煙が青い空に溶けていく


静かな祝祭


重なり合う


差異を撫でる


最初の声


意味を超える


時間は戻れる


トンネルを抜けたら


自由になれたら


いつもあのことを思い出す


あの未来を回想する


今さっき起きたみたいに


温かな夢の感触がまだある


さらさらと零れ落ちていく


それを見ている


流れ込む


死を手に取る


折り重なる


ただ詩を待つ


ふりだしに戻る


欠片を集めながら


窓辺に座りながら


自転車を漕いでいた


同じ景色、同じ町


坂を下って、踏切を渡った


コンビニで煙草を買った


あの時はあの場所に所属していた


あの壁に付着していた


特徴的な染み


意味があるような気がしてくる


言葉を発明する


元々そこにあったものに気づく感覚に近い


西日の射す部屋で


失くしたものを見つける


拡大・縮小


屋上に昇って少しだけ世界に近づけた


確かめたいと思った


どんな方法で?


天使とてんとうむしの歌


誰か


今日と明日のつなぎ目を見つけたら


やっていこう


適当に鳴らしても音楽にはなりそう


聞き覚えのある見たことない景色


列車に乗って


灰色の中を突き進む呼吸


できるだけ小さな声で


近づけて