日報

あるいは遺書

りゅう

同期して

雨が降るよ


いつも


足元の影


包まれたまま


灰色に奪われて


泡が浮かぶ


心を失くす


戻ろう


匂いの中へ


水の底へ


戦闘機が飛んでいく


朝のあいさつ


冷たい空へ


交わるところで


昨日の記憶


感情の前触れ


短い発音


何か大切な


ふっと手放す


そのたびに軽くなる


迷子になる


沈黙が揺れる


されるがまま


窓辺の花


懐かしい呼吸


誰かが誰かに触れる


誰かが誰かを隠す


皮膚は柔らかく弾ける


音もなく


何事もなく


もう何も見えない


ひとりぼっちで沈む


だけどそれは温かい


痺れるような


白い


得体の知れないもの


侵されて


優しく


一つになる


死に近づく


夕日の町


聴いたことある歌


喜びも悲しみも


最後の光


ちゃんと溶かして


こっちにおいで


遠くから


夏の足音


もう一度


欠片と欠片を組み合わせる


いつまでも遊ぼう


静かにうつむく


シャンプーの匂い


幻だったと気づく


長い長い帰り道


人間だった頃


ただ単に交互に


出たり入ったりした


病んでいくことはもう怖くない


雨粒に同期して


目を閉じる