日報

あるいは遺書

りゅう

用事を片付けて


宙に浮かんでいる


誰かに話したい


人間として生まれたなら


温かな彼方について


重い体を横たえる


沈黙は続く


罪が折り重なって


白くなって


あんな風に生きたいと


また音楽が奏でられる


世界を構成する要素について


最初と最後について


触れる


色を確かめる


風が入っては出ていく


膨らんでは萎む、柔らかく


そのことに気づいていたい


大切な場所の記憶


循環する力


ここにいるのは間違いじゃない


鉛筆で描く、淡く


水の中で揺れる花


蝶の飛び方を真似る鳥


誰かが誰かの運命を変える


波及して、干渉する


改札口から人が吐き出されるのをただ眺めている


雨上がり、夕日


こんな都会でも地球の匂いがする


皮膚の柔らかさについて、臓器の壊れやすさについて


君は優しい


無意識の奥底へ還る


透明な雫を垂らす


夜を泳ぐ


特別な瞬間も過ぎる


何もなかったように


好きな歌、好きなことば


泡になって


知らなかったこと


本当の嘘


上手くできなくていいよ


その感受性は何にも代えがたい


羽根が開いていく


黙って手を重ねる


痛みをそっと包む