日報

あるいは遺書

りゅう

体に意識が伝わる


また朝が始まる


また朝を始める


手に触れて


鼓動


窓辺の風景


失ったものの総体


上手に泳ぐ


虹の奥底へ


くらげみたいに


沈黙が合言葉


きっとできる


喜びを手に取って眺める


とりあえず口に入れてみる


複雑な繊維


折り重なる白


カーテンが風にたなびく


ぼくはここにいない


だけどいつもそこにあるもの


IN/OUT


水面に無数の波紋


それをただ見る


改札口から人が吐き出されるのをただ見る


行ったり来たり寄せては返す


いつの間にか太陽の周りを一周している


遠くまで


玩具の兵隊


泥だらけで


神聖な光に濡れる


わかったと思った瞬間にさっきまでのことを忘れる


密林


高い山に抱かれた町


壊れるのは一瞬だと思う


だけどその分尊い


祠の前に立つ


空っぽになって


自分を構成する枠組みのシンメトリだけが浮かび上がる


風が入っては出ていく


膨らんでは萎む、柔らかく


宇宙の始まりのイメージが流れ込む


守られている


拡がっていく


匂いに気づく


美しく変わる


繰り返し現れては消える姿や形を大切にしたい


そうか、だからここにいるんだ


霧をかき分けて


言葉を切り分けて


花を見つけて、花を飾って


辿っていこう、迷いながら


ゆるやかに繋がっている


それを淡く淡く描く


ほどけていくものもある


だけど今は強い力を使いたくはないから


付着して


水の中で揺れる


目に見える光は歪む


その歪み方も一つの言葉


逆さまになって


天使と会う


空を飛ぶように歩けばいい


蝶の軌跡を追って