日報

あるいは遺書

りゅう

ステンドグラスに夕日が

大きな優しい目


降り注ぐ


夜を泳いで


ぽつぽつ


鍵盤の黒いところ


猫みたいに


理由はない


空気を撫ぜる


包まれている


ゆったりと動く


宇宙の始まり


沈黙


フィクション


文字を目で追って


ページをめくる


行ったり来たり


愛しい嘘


白く滲んだ空が好き


鳥の視点になる


想像する


両手を拡げて


花、花、花


廻る、こぼれる


月日が経って


変わってしまう


幼い歌


惑わす森


いい匂いが満ちる


こうしているのが好き


自分が好き


黒く、白く


移り変わって


大きな波


鉛筆で描いた景色


送受信する機械


胎児の姿勢


弱く、脆く


遠くへ


熱を持った粒子


寄り添う子どもたち


あのメロディー


歌詞は忘れても


形を失くしても


りんごの木がざわめく


少し休もう


原っぱに寝転がって


ここはどこだろう


軽くなって


風に乗って


雲の欠片を食べる


甘い


深い青に染まる


深海に糸が伸びていく


きらきら



ずっと待ってたような気がする


過去と未来が合わさる


位相がずれて


皮膚がもっと柔らかくなる


ステンドグラスに夕日が


どこかの誰かの記憶を


もう一度再現する


繰り返し、何度も何度も


儀式のように


祈りのように