日報

あるいは遺書

りゅう

今から行くね

失くした


息する


失くしたのは海


会いに行きたい


自転車に乗って


影が影を包む


形のないものの木漏れ日


なんかかゆい


なに食べたい?


なんでもあげたい


光を分け合う


子どもの灯火


太陽の周りを一周して


何も変わらないのは


変わる必要がないから


ただここにいたいだけ


白く澱んだ空


降り始める


夕方5時


雨粒のダンス的な


鳴りやまない


愛しい


記憶が未来に絡みついて


愛したい


できるだけ頑張りたい


無駄だけど


無駄は嫌いじゃない


旅に出たい


指し示す


点滅する


誰かに会いたい誰でもいいから


匂いを探している


子宮にいた頃から


宇宙ステーションで老人になるまで


強い光


反射して届け


温かな彼方から


柔らかい眼差し


目を閉じてみて


今から行くね


手と手


ふとこぼれる


水と花


大丈夫だから


鉛筆で描く


新しくしなきゃ


真夜中の時計の針


淡い夢の温度


循環する血の感覚


耳元で何かを囁く


どうでもいいようなこと


だけど君を根本から変える力がある


きらきらと光る


全部忘れる


いつもみたいに笑って


懐かしいと思う


素直になりたい


液体みたいに


答え合わせしよう


答えなんてないけど


とめどなく明日に還る


長い長い帰り道