日報

あるいは遺書

りゅう

曲がり角の


古い夢


誰かの硝子


蔦の絡まる


どこからかやってくる


響き


ひとりとふたり


波の模様を描いて


手と手と手を


湖のほとり


昔の時計の針


こころ、からだ、ぜんぶ


ほどけて


また惹かれ合って


匂いを探してる


そのままでいいのに


とぼとぼと歩く


江ノ島水族館


だんだん遠く


雲の形が変わっていく


子どもと大人の声


ここにいるのにいない


混ざり合った空と海


聴くように見る


風を再現する


もう誰も傷つけないように


舟を浮かべる


お茶でも飲んで


雨の音だけ


溶かすように


震えるまぶた


簡単なこと


たゆたう詩


重層的に


波動を受け取る


君に見せたい


夢で会いたい


指先は凍りつく


ずっとここにいたい


魂が軽く、軽く、なって


美しい速さ


もう二度とない


未来から過去へ


カナリアの声を真似て


約束の効力が導く


いつもより白い


影が影を優しく包む


臆せず扉を開ける


季節の移り変わり


何か感じた


代わる代わるただ


水面に映る街


ふわりと舞い上がる鳥


出口を失くした記憶の鳴き声


早く死にたい、もっと生きたい


夜と朝を夢うつつで渡り歩く


今日と明日を縫い付けて


いつか見た光


煙草の煙が青へと入っていく


左右非対称の葉脈を力いっぱいに拡げた


こっちにおいで


こぼれた花の


最後の時を思って詩う


淡い木漏れ日に濡れて


少しだけ曖昧になって


なんとなくからかう


からからと笑う