日報

あるいは遺書

りゅう

胎内の太陽

なんとなく青くなる


膨らんで弾けて


ときめく


今こうしているだけでいいのに


季節が変わる最初の匂い


耳をすませば


時間が流れていく


胎内の太陽


もう一度戻ろう


たゆたう歌


幽霊みたいに


鳥の軌跡


坂道を下って


死にたくない


声を浮かべて


誰かがそれを拾う


自転車に乗って


果実が落ちて


反復していく


ここがどこだろうと構わない


夢の中で触る


閉じては開く


通り過ぎていく


細胞の変化


プールの匂い


どこまでも深く


体毛のない猿


抱きしめる


唇は口ずさむ


すべての原子は踊る


透明な影


ここにいるけどいない


一緒に寝たい


戦争の痕


雨の音


ふたつの螺旋


オルゴールの手紙


意識が混濁していく


でもそれでいい


魚になってしまう


真夜中に家を抜け出して


記憶の彼方まで


誰がどう見ても間違っている


でもそれでいい


命を奏でる


最後までちゃんとやる


惑星の運航に沿って


今日と明日がぐるぐる廻る


ファンタの泡


避けられない


君とか僕が入れ換わって


あのことを忘れる


体を横たえる


溶けてなくなる


時間の海を漂うくらげ


心臓は意志を持たない


懐かしい景色


沈黙を慈しむ


左足、右足、交互に編んで


夕日に濡れた天使


ぐちゃぐちゃにされたい


うつむく花